本場ボルドー仕込み ワイン研究家 金子三郎氏 |
シャトー訪問記(その28)-リュル・サリュース伯爵
![]() 伯爵邸の応接室で |
私たちは《シャトー・ド・ファルグ》を訪問する際に、ボルドーの花屋さんに立ち寄って、リュル・サリュース伯爵に何か洒落た花をプレゼントできないかと考えました。アマリリスにしようと思いましたが、
![]() それと日本を出発する前に伯爵へのお土産を何にしたらよいか妻と考えを巡らせたのですが、妻が昔嫁入り道具のひとつとして持参した妻の家に代々伝わる、江戸時代に伊勢二見産の蛤の殻の内側に紙を貼って、 ![]() 実は、このお話に通じる伯爵のエピソードの数々が残されています。ご存知のように、世界でつくられるワインの殆どは瓶詰された後に販売されます。だが、ボルドーのトップ・シャトーは、その例外です。ワインがまだ樽内で熟成中の収穫の翌年春からプリムールとしてオファーがはじまります。この「先物取引」でワインが実際に買い手の元に届けられるのは、2年も後のことになります。この制度によって、エリート生産者たちは早い時期にキャッシュを手にすることができるようになったのです。 ![]() ![]() 伯爵は、「自分にとって商業主義は興味がなく、国家的記念碑(ディケム、ファルグ)を商業化から守っていく。 ![]() 伯爵にお贈りした“貝合わせ”のお話から少し敷衍し過ぎてしまったようです。昼餐の模様の話しに切り替えます。さて、地下蔵(カーヴ)を見終えてから、いよいよ伯爵の邸宅へとご案内いただきました。 ![]() そして次の間のダイニングルームに案内されました。ここも沢山の蔵書と絵画に囲まれたすてきなお部屋です。 ![]() はじめに供されたのは、リュル・サリュース家の紋章の入った美しいお皿に盛られた、いくつもの大ぶりのコキーユ・サン・ジャック(帆立貝)のソテーに西洋ナシが添えられた、魚介類のクリームソース仕立てのとても美味なる料理でした。帆立貝はボルドー近くのアルカションで採れたてのもの。西洋ナシは伯爵の所有地にある農園でとれたものです。これに合わせるワインは応接室で味わったアペリティフと同じ、心惹かれる《シャトー・ド・ファルグ2008年》で、 ![]() ![]() 今回は魚介料理と貴腐ワインの話しまでで紙数が尽きてしまいました。次回は肉料理そしてチーズとデザートとワインの取り合わせを含め昼餐会の模様のつづきと只今修復中の1306年に創建された城塞についてのロマン溢れる伯爵の想いをご紹介いたします。 |
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